2025年8月25日(月)、名古屋大学ES総合館を会場に、2025年度⼥⼦中⾼⽣理系進学推進セミナー「女子中高生×保護者のための理系オープンキャンパス」を開催しました。
当初は対面形式での実施を予定していましたが、申込者が210名を超えたため、急遽オンライン配信を組み合わせたハイブリッド形式とし、会場178名・オンライン93名、合計270名以上の皆さまにご参加いただきました。猛暑の中にもかかわらず、多くの中高生や保護者の方々にご参加いただき、会場は熱気に包まれました。
プログラム内容📋
1.理系学部を知ろう
最初のプログラムでは、名古屋大学の理系学部について、各学部を代表する先生方から紹介がありました。
・山﨑真理子先生(ジェンダーダイバーシティセンター長/生命農学研究科副研究科長)
名古屋大学全体の理系学部の規模や、学部と大学院のつながり、女子学生比率について説明がありました。理系全体では学生の約27.5%が女子学生であり、「理系女子は決して一人ではない」という点が強調されました。さらに、山﨑先生ご自身も農学部の卒業生であることから、卒業後に研究や教育の現場で女子学生が広く活躍している様子を具体例とともに紹介されました。
・吉田隆先生(工学研究科副研究科長)
「工学は社会課題の解決に直結する学問である」として、愛知県の産業基盤との結びつきや、名古屋大学工学部が地域と世界をつなぐ拠点になっていることを紹介されました。特に女子学生の比率が年々高まり、学科によっては教室の雰囲気が大きく変わってきている現状が語られました。講演では「理学がアインシュタインなら、工学はエジソン」という比喩を用い、サイエンスとエンジニアリングの違いをわかりやすく説明してくださいました。
・上川内あづさ先生(理学部研究科副研究科長)
数理学科、物理学科、化学科、生命理学科、地球惑星科学科の5つの学科の特色をわかりやすく解説してくださいました。1年次に幅広い基礎を学び、2年次以降に自分の関心分野を深めていく理学部の学びの流れや、多くの卒業生が大学院に進学して研究を続けている実情が紹介されました。また、卒業生が教員や研究者として社会で活躍している例も取り上げられ、基礎科学の奥深さと将来の可能性が強調されました。
・大蔵聡先生(生命農学研究科副研究科長)
「農学とは、科学的な知見(基礎研究の成果)に基づいて社会的な問題を解決する学問です」と強調されました。生物環境科学科・資源生物科学科・応用生命科学科の3学科について紹介があり、農学部では女子学生の比率が4~6割と理系学部の中でも特に高いことが紹介されました。講演では、牛の受胎率の低下といった農業現場の課題を基礎研究から解決する具体的な研究事例も示され、農学の持つ「応用を前提とした基礎研究」という独自の学問的立ち位置が印象的に語られました。
2.理系女子学生のキャンパスライフを知ろう
続いて、現役の女子大学院生2名が、自身の体験を交えて大学生活や研究の様子を語ってくださいました。牧千尋さん(工学研究科M1)は、土木工学専攻でコンクリートの研究を行っており、研究室生活や学会発表の様子を紹介。「研究は机に向かうだけではなく、仲間と協力して進める楽しさがある」と語りました。山田真希さん(生命農学研究科M2)は、木材接合部の強度研究を紹介し、自らの進路選択に悩んだ経験から「苦手科目ではなく、やりたいことを基準に進路を選んでよかった」とメッセージを送りました。
会場の中高生たちは先輩のリアルな声に熱心に耳を傾け、自分の将来像を重ね合わせる様子が見られました。
3.学部・研究室見学ツアー
後半は、名古屋大学の多彩な研究現場を実際に見学するツアーを行いました。今回は全部で11のコースを用意し、参加者は事前に第4希望まで選択していただきました。当日は希望をもとにコース分けが行われました。普段はなかなか入ることのできない研究室や施設に足を踏み入れ、先生や学生から直接説明を受けられる貴重な時間となりました。
見学コース一覧
コース1:理学部「宇宙、化学、そして生命を研究する研究所見学ツアー」
コース2:情報学部「情報によって変わるモビリティ社会(仮)―組み込みシステム研究センターの説明」
コース3:創薬科学研究科「皮膚の形成に関する研究ってどんな研究をしているのかな。聞いてみよう。」
コース4:農学部・森林生態学研究室「森林の野外調査では何をするの?」
コース5:農学部・動物形態学研究室「研究に使う魚を見てみよう」
コース6:工学部・物理工学科「食品や化粧品に潜む物理とは?」
コース7:工学部・化学生命工学科「未来の医療や創薬を作る工学的モノづくりを知ろう」
コース8:工学部・エネルギー理工学科「社会を支えるエネルギーに関する研究(カーボンニュートラルを目指して)」
コース9:工学部・電気電子情報工学科「プラズマと光の最前線へようこそ」
コース10:工学部・機械・航空宇宙工学科「サイバーロボティクスと先進複合材料の研究室見学」
コース11:ディープテック・シリアルイノベーションセンター「半導体プロセスをクリーンルームで体験してみよう」
参加者からは、「研究室の先生方の説明がとてもわかりやすく、興味がさらに深まった」
「実際の研究環境を見て、進学へのモチベーションが高まった」といった感想が多く寄せられました。
4.なんでも質問コーナー
最後は「なんでも質問コーナー」です。
この時間では、工学部・理学部・医学部・農学部・情報学部の5学部ごとにブースが設けられ、それぞれのブースには教員と女子学生が常駐しました。参加者は興味のある学部を訪れ、学びの内容や研究の特徴、大学生活のリアルな様子について熱心に質問していました。「大学生活はどんな感じですか?」「女子学生はどのくらいいますか?」といった中高生らしい質問から、「大学院進学と就職の違いは?」といった将来を見据えた質問まで幅広く寄せられ、教員と学生が丁寧に回答しました。参加者からは、「院生の方々がとても親身に質問に答えてくださり、自身の受験への向き合い方の参考になった」という声も寄せられ、進路選択を考える上で大きな励みとなったことがうかがえました。

参加者の声📣
アンケートには80名から回答をいただきました。
「普段見ることのできない研究室を見学できて良かった」(中学生)
「工、理、農学部、それぞれの特長が分かりやすく紹介されていて良かったです」(保護者)
「“工学は技術を産業にする”という言葉が印象的で、工学部志望に自信が持てた」(高校生)
「娘が将来研究したい分野の研究室を実際に確認でき、進学へのモチベーションが高まった」(保護者)
満足度は非常に高く、「とても良かった」という回答が大多数を占めました。
一方で、「もっと研究室をじっくり見学したい」「複数の研究室を比較して知りたい」「実験体験や大学の授業体験をしてみたい」といった要望も多く寄せられ、今後の企画づくりに活かせる貴重な意見となりました。
2025年度は、対面とオンライン双方の特長を活かしながら、直接交流と双方向の学びを実現することができました。参加者にとって、理系の魅力を知り、大学や学生とつながる充実した学びと出会いの場となりました。
名古屋大学では、これからも女子中高生の理系進学を積極的に支援し、一人ひとりが未来に向けて大きな一歩を踏み出せるよう応援してまいります。
ご参加いただいた皆さま、そして運営にご協力いただいた先生方・学生の皆さま、本当にありがとうございました。
Girls Meet STEMでは、今後も企業や大学等と連携し、中高生女子の将来の選択肢を広げるための活動を続けてまいります。次回の開催もお楽しみに!